亀が消えて蜂が来た

我が家には8歳になるギリシャリクガメがいる。前の前の家に住んでいた頃から一緒に暮らしていて、もう6年の付き合いだ。

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(Photo by Masashi Kuroha)

カメは基本的には温度管理されたガラスケージの中で暮らす。が、暑い時期になると、室内に出たがる。温度と暗さ、快適さにこだわりが強くて、自分で昼寝のベストスポットを探したいのだ。なので夏の日中は、ケージの扉を開けておく。カメは好きなように居間や台所、ケージを行き来している。

今年は猛暑で、千葉も35度近い日ばかり。仕事場所に自由が利くわたしは、昼間はできるだけ家で作業することにした。エアコンの効いた室内、ソファでモニタに向かっていると、カメが足元をトコトコと通りすぎ、気に入った場所で昼寝しはじめる。近づくと、ピューピュー鼻息を立てている。かわいい。

休日になるとそこに弟が加わる。日の差す居間、人間ふたりは黙々と原稿を書き、カメは隅で昼寝する。お腹が空いたら(ほぼ弟が)食事をつくり、作業に飽きたら人間も昼寝するか、スクリーンを下げてDVDを上映する。ときどき、カメをかまう。そして夜はビール。たのしい。

夏休みのような毎日だ! 奮発して大型のエアコンつけてよかった!

……と調子に乗っていたら、日曜の朝、カメが姿を消した。家の中のどこを探しても、カメがいないのだ。まさか外に、そんなはずはない、と、きょうだいで家の内外を探した。庭に捜索に出た弟は、別件で青ざめて帰ってきた。

「やばい、蜂の巣ができてる。もしかしてスズメバチじゃないか?」

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ちょっとちょっと。

軒下には、確かにつくりはじめたばかりの巣。勤勉に働く大きな蜂。スズメバチだとしたら、放っておくわけにはいかない。わたしたちも刺されそうだが、両隣にはそれぞれ、ご老人と、小さな子どもが住んでいる。まずい。

カメはいないし、ハチはやってくるし、何なんだ。夏休み、大変だ。

すっかり株を下げた夏休みに文句をいいながら、すぐに来てくれそうなハチの駆除業者に依頼し、その一方で、カメの捜索に走った。走ったといっても20畳足らずの1階をひたすら探すばかりなのだけど。

日差しはギラギラしていて、家の中と外の気温差がすごい。

結局、カメは捜索を諦めかけた頃、ソファの上に置かれたリュックサックの中から見つかり(なぜだ)、蜂はスズメバチではなくアシナガバチで、巣を2つ作っていることがわかった。そのまま全て駆除してもらったけれど、後から調べてみたらアシナガバチは攻撃性が低く、どちらかというと益虫らしい。

「夕方になると、外に出ていた働き蜂が戻ってくると思います。巣がないことに気づいて諦めたら去っていくので安心してください」

と、駆除業者の人が言い残していった。なんだか蜂にとても申し訳ないことをした気がする。巣がなくなった我が家の庭は、相変わらずジャングルみたいで、伯父が植えていったトマトが赤くなりはじめている。

夏はまだまだ続く。

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