新しいもの

新しい年がやって来て、ぼーっとしている間に半月が過ぎてしまった。抱負も定まらないまま、正月飾りを外し、七草がゆを食べ、仕事始めに追われ、気づけば「新しい」はすーっと溶けて消えていく。


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成人の日。母の兄弟家族が揃う新年会に、引っ越し前後の記録をまとめたフォトブックを持って行った。

「やったな……!」

ページをめくりながら悶絶したのは、改造後の「家」をまだ見ていなかった叔父(母の弟)だ。自分が片付けるのに躊躇した生家を、姪のわたしが大胆にいじって使っていることに驚いた様子。「ごめん、思い切りやっちゃった」と謝ると、彼は八の字眉毛をさらに下げ、豪快に笑った。

「それにしても、なんだか僕の記憶している家より、ずっと古臭く見えるよ。なんでだろう。茶色いっていうか……」

叔父が首をかしげる。伯父(母の兄)や、弟も含めてみんなで考えた。それはもしかしたら、照明のせいかもしれないし、カーテンや家具を極力減らして施工当時の状態に剥いてしまったからかもしれない。あるいは記憶と現実のずれか。

「確かに最初はこんな風にガラスが全面に見えていたね」
「このコルクの床は後から貼ったんだよね。この下は確か市松模様のブロックのはず」
「そうだっけ。各部屋のドアは増築するときに一気に取り付けたんだよな」
「じいさんの買ったこのコンポ、当時はダンスホールとかにしか無かったよなぁ」

叔父と伯父の口から続々出てくる家の話。初めて聞く話も多くて楽しかった。

改めてわかったのは、祖父は「新しいもの」が本当に好きだったということ。

祖父は機械エンジニアだった。100年以上続く畳屋の長男に生まれたが、「不器用だから」と家業を弟に譲り、工学を学び、地元の製麺会社で新技術や新商品開発に関わったらしい。祖父が心血注いだウェーブ製法の無添加即席麺は、今も国内外で販売されている。

わたしが住まわせてもらっている「家」だって、彼が自分で設計した建物だ。その中には、当時発売されたばかりの珍しい家電と、世界20カ国以上の旅の思い出が詰まっている。

祖父はとにかく明るくて、オープンで、好奇心に満ちた人だった。「新しいものに出会う」「新しいものをつくる」喜びが、生きる燃料になるような性質があったように思う。

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新しいもの。

わたし達世代の「新しいもの」は、祖父達の世代とは少し違う。戦後ガンガン生産されたあらゆるものと仕組みを見直し、解体し、仕立て直し、賢く使う。そういう「つくる力」が、今、わたしは欲しい。

春には祖父の23回忌と祖母の7回忌を兼ねた法事がある。そのときは「家」で宴を開こうと、約束して親族会は解散した。

2018年は「新しい、新しいもの」について考えてみたい。つくってみたい。賢く、面白く、工夫を凝らして。

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機械エンジニアだった祖父。

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終戦2年後に撮影したらしい女装写真。謎が多い。

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